白内障とは、水晶体が白く濁ってくる病気です。
加齢による白内障が7割以上を占めますが、他にも先天性や外傷性、アトピー、糖尿病、薬剤や放射線が原因となる白内障もあります。加齢による病状の進行は、早い場合では40歳代から始まり、加齢とともに増えていきます。その他の白内障は比較的若年層で発症し、アトピーや糖尿病、怪我で白内障を起こすこともあります。また生まれつき白内障を発症していることも稀にあります。
白内障の代表的な症状は、視界が全体的にかすむ、視力が低下する、光をまぶしく感じる、暗い時と明るい時で見え方が違う等あります。ただ白内障は、どんなに症状が進行しても手遅れという事はありません。そのため手術時期については、基本的に患者さんが不自由を感じた時となります。

治療法としては、基本的には手術加療となります。ただし、病状初期の場合や、諸事情により手術ができない場合には、点眼で進行を抑える加療もあります。
見え方に不自由を感じる方は一度受診することをお勧めします。

1. 単焦点眼内レンズ（保険で受けられる標準的なレンズ）

単焦点レンズは、ピントを**「遠く」か「近く」のどちらか一箇所**に合わせた、最も基本的なレンズです。
・見え方の特徴: ピントを合わせた距離は大変クリアで鮮明に見えます。例えば、運転など遠くをはっきり見たい方に選ばれることが多いです。
・ご理解いただきたい点: 設定した距離以外を見る時は、必ずメガネや老眼鏡が必要になります。遠くに合わせた場合は、新聞やスマートフォンを見る時に老眼鏡が必要です。

2.  多焦点眼内レンズ（メガネに頼る回数を減らすレンズ）

多焦点レンズは、遠くも近くも、同時にピントが合うように設計されています。

・見え方の特徴: 裸眼で日常生活の多く（運転、食事、少しの読書など）を送れるようになり、メガネや老眼鏡を使う回数を大幅に減らすことができます。
・ご理解いただきたい点: 複数のピントに光を分ける構造上、単焦点レンズほどの鮮明さ（くっきり感）はわずかに劣ることがあります。また、夜間に車のライトなどが**にじんで見える（ハロー・グレア）**症状が出ることがありますが、多くは徐々に慣れていきます。

・費用について: このレンズは選定療養（特別な費用をいただく治療）となるため、単焦点レンズとは別に費用が発生します。

大切なレンズ選びのために

眼内レンズは、手術後ずっと使い続けるものです。ご自身の**趣味や仕事、普段の生活で「どこを一番見たいか」によって最適なレンズは異なります。
ご不明点や不安な点は、なんでもお気軽にご相談ください。患者様一人ひとりに合わせた、最適なレンズを一緒に選んでいきましょう。

現在ある白内障の目薬は、進行を遅らせることはできても進行を完全に止めるものではなく、もちろん一度進んでしまった白内障を治す効果もありません。したがって白内障を根本的に治すには、手術治療しかありません。
白内障は、長い年月をかけてゆっくりと進行するもので、一般的には白内障の診断を受けたからと言って、すぐに手術を受けなければならないというわけではありません。ただし、あまり進行してしまうと、手術に時間がかかり、通常であれば短時間で済む日帰り手術が出来なくなる場合があります。
また、白内障が進行すると水晶体の厚みが増し、そのせいで急性緑内障発作を起こしたり、その危険性が高くなったりする可能性があります。恐怖心はあると思いますが、むやみに手術を先延ばしたりせずに、適切な時期に手術を受けることをおすすめいたします。

手術の流れ

１．術前検査
術前に検査を行います。
２．術前診
術前に診療を行います。
３．白内障手術
当院は日帰り手術です。 手術は目に切り込みを入れて、そこから器械を入れ、目の中の手術をします。
４．術後通院
傷口の表面が塞がるのに、１週間ほどかかります。 この間に傷口から何らかの原因で目の中に毒性の強い細菌（強毒菌）が入り、目の中が強い炎症（眼内炎）を起こすことがあります。この兆候がないかどうかを検査や診察で診ていきます。